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サステナブルで楽しい「衣・食・住」とは?長谷川ミラに聞く、自分らしい環境へのアクション
「地球のためにすべきことはわかるけど、暮らしにおける楽しみは制限したくない!」。サステナブルな活動に興味や関心がある方は、このように思った経験がある人も少なくないのではないでしょうか。
では、毎日の暮らしやおしゃれを楽しむように、サステナブルなアクションを楽しむにはどうすれば良いのでしょうか? そのヒントを探るために、日頃から環境にまつわる発信を行っているモデルの長谷川ミラさんに、普段どのようなライフスタイルを送られているかお話しいただきました。
長谷川さんは、「サステナビリティをもっと楽しく」をコンセプトにした自身のブランドのデザインや、サステナビリティをコンセプトにしながらもおしゃれでワクワクする空間が広がるカフェの運営も手掛けています。
そんな環境に優しい「衣・食・住」を体現する長谷川さんのライフスタイルは、我慢とは真逆で楽しさに満ち溢れていました。彼女の暮らしぶりでワクワクしたり共感できる部分がきっとあると思います。ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
サステナブルな素材にとらわれずに、本当に好きなファッションを
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まず私が伝えたいのは、無理をしないことの大切さです。
ファッションについて、よく「サステナブルブランド」という言葉を聞きます。しかし、特定のブランドやメーカーのものを買えば、サステナブルというわけではありません。たとえ環境に配慮されたアイテムを買ったとしても、気に入っていなければいずれ使わなくなってしまったり、捨ててしまったりしますよね。それが一番サステナブルじゃないと思っていて、「環境に良いから買う」より、本当に好きなものを長く愛用することが大事だと思います。
みなさん、自分の家にどんな服があるか把握していますか? いま買おうとしているその洋服は、本当に必要でしょうか? 私は、そういった問いかけをしたいです。「このブランドだから買って良い」という考え方ではなく、どんなブランドであっても、本当に必要なもの以外は買うべきではないと思います。
たとえば、環境に配慮された素材を使用しているバッグをサステナブルに感じて購入したものの、1シーズンで飽きて使わなくなったりするようでは、本当の意味でのサステナブルにはつながりません。一方、心底気に入って購入したバッグを長年使用し、さらにはそれを親子三代にわたって使ったとしたらどうでしょう? 長期的に見ればこちらのほうが環境負荷は低いと言えるのではないでしょうか。
私が考えるサステナブルなファッションや物を選ぶ基準は、素材だけにとらわれないこと。もちろん素材も大切ですが、選択肢が狭まってしまうのはもったいない。もし自分がそのアイテムを本当に気に入っていて、10年以上大切に使えるなら、たとえサステナブルな素材でなくても良いと考えています。
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今日着ている洋服も、私のお気に入りです。トップスとパンツのブランドは受注生産メインで販売をしており、無駄な在庫や廃棄を抑えることができています。
パンツはヴィーガンレザーという素材でつくられていて、環境に配慮された素材として注目されています。トップスはニットなのですが、この服の製法自体、サステナブルと言えるんですよ。通常の洋服は大きな布をカットする際に余り生地が出ますが、ニットは毛糸を編んで形をつくるため、基本的に切り落としが発生しません。ごみが出づらいという点で、非常に環境に配慮されているんです。
食事も「できるだけ」ナチュラルなものを選びたい
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口に入れるものにも気を遣っていますが、すべてが環境に良いわけではありません。もし取材で「口に入れるものはすべてサステナブルなもの」と言ってしまったら、チェーン店のハンバーガーも食べられなくなっちゃいますよね(笑)。選択肢があるシチュエーションならば、できるだけオーガニックなものや、生産者の顔が見えるブランドを選ぶように心がけています。
長谷川さんの環境への想いをかたちにしたカフェ&バー
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私はカフェの運営も行なっており、ここでも環境に優しいさまざまな取り組みをしています。まず、料理はまとめてつくって食材を上手に使い切ることや、廃棄する料理が出ないように小分けにして冷凍保存するなど、食品ロスが出ないように工夫しています。また、レモネードが看板メニューなのですが、基本は皮だけ使用するので、果実の部分は余ってしまうんですね。ここでは、それらをスライスしてビーガンマフィンに添えたりして、ロスを減らしています。
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店内で提供しているコーヒーは、(葛飾区の)金町のお店の方がデリバリーしてくれています。配送時の二酸化炭素排出量を極力抑えるため、都内を自転車で巡っているそうです。コーヒー自体も、生産者や自然環境に配慮された豆を使っています。
あとは、炭酸水の容器をペットボトルから瓶に変えました。不要になった後もごみとして出すのではなく、できるだけ再利用したいと思い、たまにワークショップを開いて使わなくなった瓶を花瓶に生まれ変わらせたりしています。
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地球に優しいものは、人にも優しいはず。心まで綺麗になる日用品を
家で使うものに関しては、ニュージーランドで生まれた、あるブランドの日用品を長く愛用しています。特に、洗濯用洗剤はすごくおすすめです。ファッションは私にとって非常に大事ですが、環境を汚してまで服を洗いたいとは思わない。だからこそ、地球に良い製品を使いたいと考えています。それに、地球に悪いものが人間の肌に良いわけがないと思っているので、その点でも本ブランドの製品はよく見ています。
そして、香りがとても気に入っているクリーナーがあるのですが、そのガラス容器は60%リサイクル素材でつくられていて、香りも自然由来のもの。室内の隅々まで使えるクリーナーなので部屋も綺麗になるし、「環境に良いことをしてるな」って思えて心まで気分が良くなりますね。
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日用品に関して、環境配慮が完璧なメーカーはたぶんありません。数年前までは、「この製品はここだけサステナブルで、ここはプラスチックなのか」なんて感じていたんですけど、それで良いと思います。完璧ではなくても、少しでも頑張っていれば企業努力としてはそれで十分ですし、むしろそのアイテムを購入することで、企業に対して「こういった商品には需要がある」とアピールできますよね。消費行動が企業へのメッセージになるわけですから、物を購入する際の選択肢の1つとして考えてもらえれば良いかなと思います。
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- 長谷川ミラ
- モデル・ラジオナビゲーター
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1997年7月7日生まれ。TVや雑誌での活動をはじめ、ラジオでのナビゲーターも務めている。イギリスの名門美大への留学。社会問題などをSNSで発信する、新世代を担うオピニオンリーダー。ビジネス誌「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2022」受賞。