日本では1970年に廃棄物処理法が施行されましたが、その後も経済成長に伴い、モノが大量に生産されるようになると、排出される廃棄物の量が増加し、質も多様化して、不法投棄などの不適正処理が社会問題化してきました。
医療廃棄物についても、青森・岩手県境不法投棄事件など、原状回復に多大な労力、費用、時間を要するような大規模な不適正処理事件が発生しました。
また、都内においても、医療機関から排出された廃棄物が適正に処理されず、保管されていた不適正処理事件がありました。
不法投棄は、近年では減少傾向にありますが、いまだ撲滅には至っていないのが実情です。
特に、医療廃棄物は廃棄物処理法において特別管理産業廃棄物と位置付けられており、より一層の適正処理が求められています。
青森県田子町と岩手県二戸市の県境で発生した、国内最大級の不法投棄事件。
中間処理業者及び中間処理・最終処分業者によって、燃え殻、廃プラ、医療廃棄物等、両県併せて約150万トンが不法投棄されました。
1999年に事件発生が発覚し、現在でも原状回復の作業が行われています。
不法投棄者に処理を委託した排出事業者は約12,000社に及び、このうち、都内の医療機関は約1,000社であったと言われています。
出典
資金繰りに困った収集運搬業者が、都内の医療機関等から収集した廃棄物を中間処理施設に持ち込めず、八王子市内の駐車場に放置して夜逃げした事件。
不適正処理された廃棄物には、感染性産業廃棄物1,330箱・廃液250個などが混入していました。
医療機関がマニフェストの返送確認を怠っていたため、排出事業者に措置命令が出され、自ら廃棄物の撤去を行うことになりました。
出典 東京都環境局
循環型社会の形成を推進する目的で制定された廃棄物処理法は、上記のような不適正処理事件が発生したことから、 排出事業者責任の徹底等を目的に、相次いで改正が行われてきました。主な改正内容は、以下のとおりです。
平成29年の廃棄物処理法改正により、令和2年4月から、特別管理産業廃棄物を多量に排出する事業者への電子マニフェストの使用が義務化されます。
前々年度の特別管理産業廃棄物の発生量が50t以上である医療機関が処理を委託する場合は、電子マニフェストの使用が義務付けられます。
例えば、令和2年4月からの義務化については、平成30年度の発生量を元に対象となるか否かが判断されます。
電子マニフェストの義務化には、「医療廃棄物追跡管理システム」の活用によるご対応をおすすめいたします。
事業活動に伴い特別管理産業廃棄物(医療廃棄物など)を生ずる事業場を設置している事業者は、当該事業場ごとに、当該事業場に係る当該特別管理産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなければなりません。
なお、特別管理産業廃棄物管理責任者は、環境省令で定める資格を有するものでなければなりません。
詳しくは、以下のページをご確認ください。