資源循環
日本では、循環型社会の構築に向けて3R(Reduce、Reuse、Recycle)に取り組んでいます。東京都においても、ゼロエミッション東京戦略(2019.12)の中で3Rの推進を主要政策として位置づけています。資源循環チームではこの施策の実現に向けて、東京都と連携し、食品廃棄物、焼却灰の循環利用、焼却排ガス中の有害物質の除去に関する研究を進めています。
主要研究課題
1.食品廃棄物に関する研究
清掃工場に持ち込まれる食品廃棄物を対象として組成調査などを実施し、食品ロスの実態把握を行っています。具体的には、ごみ組成調査から、食品ロスなどの排出状況を確認し、分別・計量して、その排出割合を算出したり、食品関連事業者などへのヒアリング調査から発生要因の分析を行っています。また、食品廃棄に伴って排出される容器包装プラスチックについて、実態把握とバイオマスプラスチック導入などによる環境負荷低減に関する研究を進めています。
2.都市ごみ焼却灰の循環利用に関する研究
都市ごみ中の焼却灰を対象として、その再資源化を進めるための研究を行っています。具体的には、焼却灰(主灰)をセメント原料の代替材料として活用するための前処理、選別手法の検討や、再資源化の阻害要因である塩素の効果的な脱塩方法の研究を行っています。あわせて、有用な金属資源の分離回収についての調査研究を行っています。よりリサイクルが難しい焼却飛灰の再資源化についての研究も進めています。
3.都市ごみ中の有害物質の処理及び管理手法に関する研究
都市ごみ焼却排ガスから大気へ排出される有害物質を、より効果的に抑制する処理技術と管理手法についての研究を行っています。具体的には、清掃工場排ガス中の水銀を活性炭で除去する方法について、活性炭の種類、使用温度、共存ガスなどが除去能力にどのような影響を及ぼすかなどについて実験を行っています。また、実際の清掃工場に近い条件での実験を行い、測定技術や制御技術の実用化に向けた研究を進めています。
技術支援
1.ごみ質組成分析に関する実務研修
資源循環チームでは、都及び区市町村の職員を対象として、ごみ質組成調査の実務研修を実施しています。ごみ質組成調査は、埋立処分、焼却施設の適正な運用や廃棄物処理、リサイクル計画などの行政施策立案に重要な基礎調査です。この研修では、実際に模擬ごみを用いて、スコップを使ってのかき混ぜ、分別、計量作業などを体験します。廃棄物に関わる職員がごみ質組成調査の実務を理解し、今後の業務に生かしていくことを目的としています。