東京都環境科学研究所

土壌汚染(重金属VOC等)、ダイオキシン類

本分野では、重金属汚染土壌の合理的な処理促進に関する技術支援業務、及びダイオキシン類の土壌地下水汚染に対する調査・対策に関する技術支援実施しています。また、ダイオキシン類に関しては、東京都の環境モニタリングの分析精度を確保するための精度管理業務、区市町村の環境担当者を対象にしたダイオキシン分析研修等も実施しています。

技術支援

1.汚染土壌の合理的な処理促進に関する技術支援

 東京都は、改正土壌汚染対策法による土壌汚染の指定区域数が日本全国の約四分の一を占めています。その大半の事例で汚染土壌を掘削除去する対策が取られていますが、より経済的負担と環境負荷の少ない合理的かつ適切な対策手法の普及が求められています。そのような手法の一つに不溶化処理法があります。不溶化処理法とは、重金属による汚染土壌に、無害な薬剤を混ぜることで有害な物質が水に溶け出ないようにする技術です。しかしながら、対策手法としての不溶化は、不溶化機構の解明が不十分な点や長期安定性に対する不安感が払拭できていないことなどから、普及までには至っていないのが現状です。そこで当研究所では、不溶化処理法を普及させることを目的に、現在、不溶化処理法の長期安定性の評価手法の開発(図1)をはじめ、土壌からの有害物質の溶出特性の解明(図2)を目指した技術支援研究に取り組んでいます。

図1 不溶化処理した汚染土壌からの重金属の長期安定性の評価手法の流れ
図2 汚染土壌からの有害物質の溶出特性の評価を目的とした上向流カラム通水試験の様子

2.ダイオキシン類の土壌地下水汚染に対する調査・対策に関する技術支援、および精度管理等

 当所では1999年にダイオキシン等分析室を設置しました。その後、法規制の強化等により、近年大気中のダイオキシン類濃度は都内平均で環境基準の1/30以下まで低下しています。しかし、過去に排出されたダイオキシン類の多くは環境中で分解されずに土壌や水底土砂(底質)に残っています。当所では、ダイオキシン類の魚類など生物への蓄積特性、都内の小河川におけるダイオキシン類の高濃度汚染とその生成過程、建材や保管されているPCB製品からのコプラナーPCB(ダイオキシン類の一部の物質)の揮発、土壌の高濃度汚染の実態解明等を行ってきました。引き続き、環境調査を行う行政部門を支援するため、精度管理やダイオキシン分析に関する研修等を実施するとともに、本施設を活用した様々な化学物質の分析に取り組んでいます。

ダイオキシン類分析(精製)の様子
分析装置(二重収束型ガスクロマトグラフ質量分析計)