東京都環境科学研究所

自主研究

 

今年度の研究テーマ

先行的研究

1 実路走行時の窒素化合物の排出量計測及び排出量原単位の算出に関する研究 今後の排出ガス低減対策に資することを目的として、実路走行時のNH3、N2Oの計測に向けた測定手法の検討と、台上試験、実路走行ベースの排出量原単位の算出・比較を行います。
2 森林保全の地下水涵養に及ぼす影響に関する研究 都内の森林の保全により、地下水涵養量がどの程度増加するのかを評価するための基礎調査を行います。
3 生物多様性に着目した化学物質による生態リスク評価手法の構築 無機化学物質のうち重金属について、生物利用性や毒性の高い形態に着目しながら濃度実態を調査するとともに、化学物質による生態リスクが生物多様性に与える影響を定量的に解析します。
4 外来付着珪藻の繁茂に影響する環境因子に関する研究 珪藻の主要3成分である窒素栄養塩、リン栄養塩、ケイ素栄養塩に着目し、全国的に分布拡大が懸念される外来付着珪藻「ミズワタクチビルケイソウ」の繁茂と栄養塩の関係を、時空間的変動と河川の不連続化から解明します。
萌芽研究

1 食用油加熱時における低級アルデヒドの排出量調査 東京都のVOC総排出量のうち家庭から排出されるVOC項目の民生部門は約17%を占めます。この中には「動植物生体及び食品から排出されるVOC量」は推計対象外であり調理時に生じるVOC量は未把握であることから、調理排気中低級アルデヒドの排出量を調査します。
2 使用過程車からの酸化エチレンの排出量に関する研究 酸化エチレンの使用過程車からの排出量が大気・水域排出量に与える寄与度を明らかにすることを目的として、2022年度に調査を行い、排出量の測定を行ったところ、通常の採取方法では多くの条件において酸化エチレンを検出することができないことがわかりました。本研究では採取方法を検討し、再度調査を行うことにより、使用過程車からの酸化エチレンの排出係数を算出し、インベントリ試算のためのデータを揃えることを目的とします。
3 小型環境計測器を用いたシチュエーション別PM2.5モニタリング 都内におけるPM2.5は自動測定機にて大気環境中のPM2.5濃度の常時監視が行われています。そのPM2.5濃度と小型環境計測器による個人データではずれが生じているとの報告があります。その報告は1日間の比較であり、複数日におけるデータは少ないため、持ち歩きできるという利点を生かした小型環境計測器により屋内や屋外などのシチュエーション別に複数日のモニタリングを行います。
4 都内走行路線バスのエネルギー使用量のエリア別時間別特性の把握 地点毎のバス時刻表データ等と当研究所が保有するバス車両の旅行速度に応じた走行エネルギーデータを基に、時々刻々のエリア別(路線別)のエネルギー使用量を算定し、路線バスの電動化に向けて電力供給の方策を検討します。
5 気候変動予測データを用いた都内における将来のWBGT(暑さ指数)の推定 熱中症発生の指標としてWBGTが用いられており、温暖化に伴い将来のWBGTが重要な情報となります。しかし、既存の気候変動予測データにはWBGTがなく、算定に必要なデータもないため、将来のWBGTを知ることができないため、予測データ(国環研)を用いて、都内における将来のWBGTを推定する手法を検討します。
事業化支援研究

1 東京都市圏における生態系サービス分布の可視化推進と予測 緑化樹木が持つ生態系サービスとして暑熱緩和と生物多様性保全(鳥類)に着目し、その現状分布を可視化することで、生態系サービスを最大限活用し、負のサービスを抑える有効な緑化計画の立案に貢献します。
2 保全地域における緑地の評価に関する研究 研究所が有する緑地評価の知見を活用し、リモートセンシング技術や現地調査など、多様な手法で保全地域が提供している生態系サービスを定量的に把握します。

○先行的研究・・・将来的に重要性が高くなると思われるものの、研究受託に至っていない課題について、先行的に研究を行い、研究成果をもとに、委託研究や公募研究の獲得が期待できるもの
○萌芽研究・・・現在は重要性が顕在化していない環境テーマについて、独創的なアイデアにより知見の集積を行い、研究成果により、将来の研究に発展させる可能性を有するもの(研究期間:1年)
○事業化支援研究・・・公社事業の展開・充実に資する実践的研究を行い、公社における技術分野の人材育成も期待できるもの

過去の研究テーマ

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