評価結果 H22-2-2
平成22年度第2回外部研究評価委員会 新規研究の事前評価結果
研究テーマ |
コケによる屋上緑化の気候緩和効果に関する研究
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研究期間 | 23年度 |
研究目的 | 東京都では、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活に向け、「緑の東京10年プロジェクト」を推進しており、都内における屋上緑化をはじめとした緑の効果に対する期待はこれまで以上に大きくなっている。こうした中、屋上緑化によるヒートアイランド緩和効果については、平成15年度に環境科学研究所が他研究機関と共同で実証実験を行っているが、その後、さまざまな植物を用いた新たな屋上緑化手法が開発され、当時の実験データのみでは対応が困難な状況となっている。 そこで、近年、ローコスト・ローメンテナンスな屋上緑化として使用されているコケを中心に、薄層で軽量な屋上緑化手法によるヒートアイランド緩和効果を定量的に明らかにすることを目的に研究を行う。 |
研究内容 | コケによる屋上緑化の気候緩和効果について検討するために、下記項目の研究を行う。 (1) 調査実施計画作成 ① 対象とする屋上緑化手法及び規模等の検討 ② 設置機器等ヒートアイランド緩和効果測定に係る詳細仕様の検討 (2) 気候緩和効果の調査 ① 風向風速・日射量・気温・湿度等気象条件の測定 ② 表面温度・屋上スラブ面温度の測定 ③ 顕熱・潜熱・伝導熱等熱収支の測定 (3) 調査結果とりまとめ |
事前評価 | A1名、B4名 |
評価コメント及び対応 | ・効果の評価の仕方を事前に明確にしておく事が必要と考える。 ⇒効果の評価法につきましては、晴天日における顕熱フラックスならびに赤外放射量の低減効果を中心に検討していく予定です。 ・現在屋上緑化をしている建物についての現状調査及び文献調査は既に実施しているのか。 ⇒屋上緑化の現状、文献等については、既にいくつかの事前調査を行っておりますが、研究開始とともに本格的な調査を行ってまいりたいと思います。 ・新規研究テーマ1と同様に、ヒートアイランド現象への取り組みの範疇に含まれる課題であるが、具体的な対策技術を対象としていることが大きな特徴である。当研究所がこれまで取り組んできた課題の延長線上にある課題であり、短期間で成果を上げることによって、実用面での貢献が期待される。 ・単年度の課題であることから時間が十分にとれないことは理解できるが、他機関における関連研究の状況について、できる限り調査することによって、研究のポイントを絞り込むことが望まれる。 ・行政ニーズに短期で応えるには難しい課題だが、ポイントを絞り、かつ長い研究の流れをうまく生かし、次に続けられるような種を仕込んでいただきたいと思う。 ・市民によびかけて参加を促しやすいテーマではないかと思われ、アウトリーチという側面も考えながら研究を展開していただければと思う。 ⇒アウトリーチという側面も意識しながら研究を進めてまいりたいと思います。 ・コケという薄層で軽量な屋上緑化による気候緩和効果を明らかにすることは意義があるものと思われる。 ⇒コケ緑化という近年の軽量薄層で簡易な屋上緑化が、どの程度の都市の気候緩和効果を有するかを明らかにしていきたいと思います。 ・研究として何が重要か、課題を明確にして取り組む必要がある。コケの状態は、光環境と水環境によって絶えず変化するもの考えられることから、長期的にどのように一定の状態を維持するのか、その点も含めて研究を推進する必要があろう。 ⇒ご指摘のように、植物の特性を考えれば複数年の研究が必要と考えられますので、東京都と協議を行いたいと思います。 ・コケではヒートアイランド緩和効果はあまり期待できない可能性が高いが、学術的な知見は得られると考えられる。植物的な特性の面についても調査すると良い。 ⇒熱的なものだけでなく植物的な特性についても調査項目に入れるよう検討したいと思います ・コントロール(無植栽)区での測定もしたほうがよい。1年の計画であるが,屋上緑化植栽の長期経時変化を見るために、実験装置は1年終了後も、測定、見学できるように残してほしい。 ⇒研究期間につきましては、都側と今後検討してまいりたいと思います。 |