東京都環境科学研究所

評価結果 H25-2-4

平成25年度第2回外部研究評価委員会 継続研究の事前評価結果

研究テーマ
資源循環に関する研究・最終処分プロセスに関する技術開発
研究期間 24年度~26年度
研究目的  都市ごみに含まれる希少金属・主要金属は、鉄やアルミなど一部の資源を除いて、焼却・溶融等を経て最終処分場に埋め立てられている。資源の循環利用においては、廃棄物に含有される全ての資源が利用できるものではなく、資源循環を阻害する物質や、逆に随伴されることにより効率良く循環する物質もあるため、希少金属以外の物質にも着目し、焼却灰や溶融物、飛灰などの組成実態を明らかにしていく。
 また、最終処分場の浸出水に含まれるアンモニア態窒素を硝化するため、下水汚泥処理工程から排出される高濃度アンモニアを処理する方法が注目されており、処分場への適用によるコスト削減の検討を行っていく。さらに、一定の条件下において、廃棄された石膏ボードからの硫化水素発生事故が起きていることから、硫化水素の発生機構や抑制方法について、技術開発を行っていく。
研究内容
  • (1)資源循環に関する研究
  • ①都内における希少金属・主要金属等の資源循環可能性量の把握
  • ②資源循環に関する関連情報の収集・静脈物流の効率化
  • ③資源循環手法の検討と事業化のための課題抽出
  • (2)最終処分プロセスに関する技術開発
  • ①最終処分場浸出水の効率的処理技術の検討
  • ②最終処分場維持管理に関する技術情報の収集
  • ③廃石膏ボード等の処理・資源化技術の検討
事前評価 A2名、B3名
評価コメント及び対応
(同様の評価及び対応は、まとめて記載)
  • 浸透水の影響、土中のバクテリア等の活動による有害物質の発生、等々の課題把握及び対策技術の開発を推進していただきたい。
  • 引き続き硫化水素の発生条件、及び有効な対策の検討に努めていきます。
  • 最終処分プロセスに関する技術開発は評価する。浸出水処理施設を最終処分場に設置するには費用、場所、ランニングコストがかかる。今後のさらなる研究を期待する。
  • 最終処分場における実証実験を平成26年度から本格的に実施し、温度変化やアンモニア濃度の変化に対するアナモックス菌の耐性等について調査していく予定です。
  • 可燃ごみ、不燃ごみ中の希少金属の回収については、今後外部の専門機関との共同研究が良いと思う。特に回収コストによっては意味がなくなる。都市鉱山などとマスコミにはもてはやされているが、実際にはコストの面でかなり難しいようである。
  • 現在、可燃ごみ、不燃ごみ中の金属回収の研究については、東京二十三区清掃一部事務組合、首都大学東京と共同研究を行っております。可燃ごみ、不燃ごみのいずれにおいても都市鉱山として回収ポテンシャルが大きい東京都という特性を踏まえ、研究を継続していきます。
  • 浸出水処理や石膏ボードからの硫化水素発生抑制などの技術開発と可燃・不燃ごみ中の元素組成把握など検討項目が幅広く研究のやり方として望ましい方向と思われる。
  • いずれの検討も定期的に結果にまとめられ学会等で情報発信を心掛けていただきたい。
  • 廃棄物資源循環学会、研究所年報等で情報発信に努めていきます。
  • アンモニアを脱窒素せずにアンニウムイオンとして回収し、肥料などの再利用に使用する考え方は成り立たないのか?
  • 浸出水中のアンモニア態窒素濃度は300から400mg/Lとそれほど高濃度ではなく、肥料として使用するには、浸出水の脱水・乾燥する施設建設コスト、及び燃料使用に伴うランニングコストの面から、困難と考えます。亜硝酸態窒素濃度とアンモニア態窒素濃度のバランスを保ちつつ、浸出水のアナモックス処理の開発を進めていきます。
  • 東京都内から廃棄されるごみの量は膨大で、その処分過程で有効な資源循環を行うことは不可欠と考えられる。従って、新たな技術開発を含めた研究の進展に寄与する研究として評価できる。
  • 研究事項が、「資源循環に関する研究」と「最終処分プロセスに関する技術開発」に大別されているが、両者が独立した課題として個別に研究されているように感じられるので、相互の関連が明確になるような研究のフローを明示した方がよい。
  • ご指摘のとおり、「資源循環に関する研究」と「最終処分プロセスに関する技術開発」との関連性は小さいと考えます。将来は、両者を別の研究として整理していきます。
  • 金属類の資源循環に関する検討は短期的に実施に結びつく課題でもなく、東京都が技術開発の主体となる筋合いでもないと思われるが、最大級の「都市鉱山」としてこの課題への視野を開いていくことは必要であろう。
  • 最終処分場の問題は常時注意を払っていくべき課題であり、浸出水処理と石膏ボードを取り上げて取り組まれ、結果が出つつあることが確認できた。
  • 「資源循環に関する研究」、「最終処分プロセスにおける技術開発」のいずれも、成果が短期的に東京都の施策立案につながるものではありませんが、有効な対策となるよう、継続して研究成果を出していきます。