東京都環境科学研究所

評価結果 H26-1-3

平成26年度第1回外部研究評価委員会 終了研究の事後評価結果

研究テーマ
有害化学物質の分析法・環境実態に関する研究
研究期間 23年度~25年度
研究目的 都民への有害性のおそれなどに関して優先度の高い化学物質を明らかにするとともに、実態調査等を通じて、東京都の化学物質に関する行政施策に資する。
研究内容
  • (1)化学物質環境実態調査(環境省の受託事業で、都内の2地点を対象に実施)
  • ①PRTR法対象物質、化審法対象物質、POPs等の環境残留状況調査
  • ②水質、底質、生物は東京湾調査、大気は都内と小笠原の調査
  • (2)有機フッ素化合物の環境実態に関する変化の追跡及び包括的な水環境中でのリスク把握
  • PFOSのPOPs追加後における環境実態の変化及び地下水や生物試料等の調査を通じたリスクの解明
  • (3)リスクの懸念される化学物質の調査(POPs候補物質等)
  • 測定法の検討、汚染実態の把握、排出源の推定
事後評価 A3名、B2名
評価コメント及び対応
  • 予算と研究者の人的資源が限られている中で、研究担当者が熱心に分析および実態調査研究を推進されていることに敬意を表する。
  • この種の解析は、一研究機関でのサンプル採集と分析は限られるので、研究担当者が取られた手法、すなわち「プロファイラーの活用」、「エコ調査、学会等の資料の活用」により、全国のデータを収集、データベースを構築する方法を並行して取るべきと考える。今後の進展に期待する。
  • データの収集やデータベースの構築に関しては、共同研究を進めている他の自治体と連携して遂行していきます。
  • 今後もパーフルオロ化合物の環境濃度を継続的に実施すべきと思う。
  • 特にPFOSの代替品などの新しいフッ素化合物に着目して研究を推進していただきたい。
  • 上記とダブりますが、この種の仕事は継続してこそ意味がある。
  • 有機フッ素化合物をはじめとする都民に対してリスクの高い可能性のある物質について、実態調査を進めていきます。
  • 経時変化として汚染物質の動態が把握されていて,結果をまとめて学術誌にも投稿されているので良好な成果を上げていると判断できる。
  • リスクが低いと見積もっている(予測している)が,エコチル調査などの疫学的研究についても注意を払っていただき,環境ホルモンのように微量で人体や生態系に作用(生殖毒性,免疫毒性,etc.)する物質についても評価していく必要があると思われる。
  • PFOSだけでみるとリスクが低いかもしれないが,POPs物質だけで考えてみてもそれぞれの物質の総和(相乗効果や打消し効果はないと仮定)で考えるとリスクは上がるのではないか?研究で注目されている一物質ばかりでなくPOPs物質に代表される有害物質全体のことも把握しつつ研究を進めていただきたい。
  • 今後、都内の水環境中で優先的に着手する物質を、排出量や毒性等の観点でピックアップし、環境実態の調査へ進めていきたいと思います。複合リスクの問題に関しては、当研究所での知見が充実していないため、状況に応じて他研究所等から情報収集を行うなどの方法を検討していきたいと思います。
  • 小笠原を含め、東京都内5カ所での試料採取は貴重で、評価できる。
  • 今後も都内における化学物質の実態調査を継続し、情報の一層の集積に努めていきます。
  • 対象とする有害化学物質の、多地点での経年的な環境動態把握調査の努力は貴重である。成果の公表もきめ細かく行われているようである。H26年度の後継テーマでも的確にターゲットを設定して大都市の環境動態に関する情報を提供していかれるよう期待する。
  • 土壌カラム浸透実験をされたのは興味深い試みと思う。研究に問題があるという意味での疑問ではないが、速く通過浸出せずに残留する長鎖PFCがその後どうなるのか(いずれ通過するとか、固着?して残留するとか、土壌の諸性質に依存するとか)が気になった。
  • 実験に使用した土壌は、深さ別に1~2cm間隔に分けて分析を実施し、長鎖になるにしたがい、表層付近の土壌に吸着する傾向にあることが分かりました。また、ターゲットとする物質は、都内における排出量等を指標として選定して調査を進めていきます。