東京都環境科学研究所

評価結果 H26-2-8

平成26年度第2回外部研究評価委員会 継続研究の事前評価結果

研究テーマ
東京都におけるヒートアイランド現象等の実態に関する研究
研究期間 2013~2015年度
研究目的 進行するヒートアイランド現象や地球温暖化の影響を確実に把握し、東京都の施策に反映させるため、ヒートアイランドや気候変動に関する最新の現状を観測・調査し、今後の都における暑熱対策に貢献する。
研究内容
  • (1) 東京都における熱環境の実態把握
  • (2) 暑熱対策実施効果の検証と暑熱対策必要個所の特定
  • (3) ヒートアイランドに関する情報収集
  • (4) 東京都に関連する気候変動影響等の調査
事前評価 A1名、B1名、C3名
評価コメント及び対応
  • 取り組みは悪くはないが、何を解決したいのか? 何を検証したいのか? 具体的な絵柄が提示できていない。
  • 課題解決に向けて、本プロジェクトを推進したのちに、どんな提案をしたいと考えているのか?(提案が出来るのか?)を示されたい。
  • 本研究は、現時点での実態を把握し今後の対策を検討する際の基礎資料とすることを目的として実施していますが、研究の結果、明らかとなった高温箇所等において体感温度等温熱環境の詳細な調査の必要性を東京都に対して提案していきたいと思います。
  • わたし自身、この研究の意味がよく理解できない。すでに分かっていることの追試にしか見えない。
  • 熱画像撮影の必要性は認めますが、その手法の限界を十分わきまえるべきである。
  • 特に問題視しているのはその費用対効果である。
  • 今後は対策に焦点を当てた研究に進むことを期待する。
  • 都内の広範囲なエリアを対象とする場合には有用な手法ですが、ご指摘の通り課題もありますので、その点を考慮し今後の研究に生かしていきたいと思います。
  • 都市表面からの赤外放射量の測定と可視化など,ヒートアイランド対策を立案する上で,有用な研究成果が得られている。
  • シミュレーションの精度を上げていき,緑化率を上げていったときのヒートアイランド現象の緩和度合なども予測して都民に提示できるようにしていただきたい。例えば「遊休地や現在問題となっている多くの空家などを全て樹木の茂った緑地に,2車線以上の道路は0.5~1車線分を街路樹のある緑地帯にしたとすると○○の効果がある」などといったことを予測して都民に提示できるようにしていっていただきたい。
  • 必要に応じて「新たな緑の指標調査」ともタイアップして検討を進めていただきたい。
  • ・大学等との共同により、さまざまなシミュレーションにも取り組んでいく予定です。
    ・「新たな緑の指標調査」とも連携しながら研究を進めていきたいと思います。
  • 近年、東京では地球温暖化を遙かにしのぐ勢いで高温化が進行しており、特に夏期を中心に熱中症患者数が激増している。ヒートアイランド緩和対策を進める上でも、東京都内の高温の実態を的確に把握し、その形成要因を明らかにすることは大変重要であり、本研究もその一環として評価できる。
  • 大都市東京のヒートアイランド現象の実態把握には、都内全域を対象にした高密度の気温・湿度・風等の気象観測を継続的に実施することが最も重要である。したがって、スポット的な熱画像解析と平行して広域の高密度気象観測(モニタリング)に重点的に予算配分がなされることを強く要望したい。
  • 特に、2020年に開催予定のオリンピックは、7月末~8月初めの盛夏期に実施されることを考慮すると、マラソンなどの屋外競技では地表面からの赤外放射よりも、日射や気温を低減することが重要であり、街路樹による日陰効果や街路・建物配置改善による「風の道」導入が不可欠である。そのための基礎データを提供する観測システム導入が急務となろう。
  • ・ご指摘の点に関しては、以前から都に対しその重要性を説明し予算配分を要望しておりますが、今後も引き続き要望してまいります。
    ・オリンピックに向けて、日陰効果や街路・建物配置改善による「風の道」効果などを検証するための基礎データ観測についても、東京都に対しその重要性を説明し提案していきたいと考えます。
  • 3年計画で上空からの熱画像データを収集してきた調査の継続であり、結果を総合し、研究に活用されたい。
  • 各年度に同じ4項目の研究事項が挙げられ、新年度もそれを踏襲しているが、熱画像を除いて実施内容と成果が明確でなく、そもそもこの4項目の相互関連や具体的施策への推進意識が希薄と感じられる。
  • 3年目となれば何かしら具体施策を念頭においた研究目標が打ち出されているような3年計画であってほしかったし、3年目まで来てそのように進んでもよいのではないかと考えられ、測定とモデル検証の試みにとどまってその後に施策を考えるというのは物足りないと言わざるを得ない。
  • 付言すれば、モデルによる施策の効果検討もおざなりのメニュー提示ではなく、適用区域を意識した短期的・長期的に提言できる施策の裏付けとしてモデル評価を用いてほしい。
  • 本研究は、現時点での実態を把握し今後の対策を検討する際の基礎資料とすることを目的として実施しています。本研究により明らかとなった高温箇所において、今後、体感温度等の温熱環境を詳細に調査する等によって、より効果的な対策を東京都に対して提案していきたいと思います。