東京都環境科学研究所

評価結果 H26-2-9

平成26年度第2回外部研究評価委員会 継続研究の事前評価結果

研究テーマ
新たな緑の指標調査
研究期間 2015~2016年度
研究目的 「緑施策の新展開」等、都が今後行っていく緑の質にも配慮した施策に活用するために、生きものの生息空間としての緑の評価指標の開発をめざす。
研究内容
  • ①生きものの生息空間としての質を考慮したみどり率(指標)に向けた検討
  • ②評価指標の把握方法の検討
事前評価 A1名、B3名、C1名
評価コメント及び対応
  • 課題解決に向けて、本プロジェクトを推進したあかつきには、なにが提案されるのが、その絵柄が示されていない。
  • 目的指向の研究プロジェクトになるように、研究構想のポリッシュアップが望まれる。
  • 本研究は、現在、緑の量のみで評価している緑関係の施策効果を、緑の質についても評価を可能とすることにより、より質の高い緑の保護、創出をめざすものです。今後、より目的志向の研究となるように検討していきたいと思います。
  • テーマ自体は非常に基礎的な研究でその意味は十分認める。
  • 一自治体で研究すべきテーマかどうか、議論があるとは思うが、このような基礎研究の意義は認める。
  • ただ、あまりに大きなテーマなので、千葉大学以外の機関との共同研究も考えるべきと思う。
  • 必要に応じて他の大学、研究機関との連携も考えて進めていきます。
  • 草地と樹林を分けているだけでなく,緑地の連続性も「緑の質」評価のファクターに加えており評価方針としては優れた考え方であると思われる。
  • 緑の質とその長所短所を明確にして提示していただきたい。例えば,「奥多摩の森林は斜面もあるため避難エリアや居住エリアとしての価値は低いが,レクリエーションや水源涵養林としての価値は高い」,「人口密集地に近い河川敷の緑は増水時には流れを吸収するだけであまり価値はないが,晴天時には景観も良好で地震や火災時の避難エリアとして有効である」などその有用性や危険性も明確にしていっていただきたい。
  • 必要に応じて「ヒートアイランド現象等の実態に関する研究」ともタイアップして検討を進めていただきたい。
  • ・本研究は生きものの生存基盤(生態系)としての価値に特化して検討することとなっていますが、今後、ご指摘の点もふまえて、東京都と相談しながらより良い研究となるよう進めていきます。
    ・「ヒートアイランド現象等の実態に関する研究」も視野に入れながら研究を進めていきたいと思います。
  • 東京は、欧米の大都市に比較して公園緑地の面積が狭く、緑被率が低い。一方、ヒートアイランドに代表される都市の熱環境は悪化の一途をたどっている。都市の熱環境改善に最も有効な「緑」の実態を正確に把握することは大変重要であり、本研究は都市環境改善に向けた重要な研究として評価できる。
  • 上記のように、本研究は大変有意義であり、研究の早期達成が望まれる。しかし、予算額が少ないこともあって、調査の具体的成果があまり明瞭でない。前回の評価でも指摘したが、本研究では、東京都内全域の統一した緑指標をデータベース化することを最優先するべきであろう。
  • そのためには、衛星・航空機を活用した広域リモートセンシング技術の開発も重要ではないかと思われる。
  • ・長期的な目標として、都内全域について統一した指標で緑をデータベース化することは重要であり、本研究は、そのための第一歩とも考えられます。本研究成果がそのような長期的な目標に活かされるよう配慮しながら進めて行きたいと考えます。
    ・また、本研究の中で衛星や航空機を活用したリモートセンシング等の新しい技術の活用についても検討を行っていく予定です。
  • 生態系評価検討会の検討を参考にすることは利点であろう。生態学とか造園学、景観学などの分野で指標となるものを適切に考慮に入れる必要があろう。
  • 安直に考えると衛星データでみどり率は分析できると思われるが、樹種や作物の種類により季節変化もあるから、季節ごとのデータ収集だとか、多波長の組み合わせによる分析が必要となろう。
  • みどり率が単一の数値だったら不十分なのは自明で、土地利用形態別に第1種~第○種などの多段階でそれぞれ評価し、必要に応じてそれらを加重平均するなどの総合評価をすることになるのではないかと思う。
  • 生態系評価検討会の緑指標は、地域別に設定がされ、これに必要に応じて加点され、これを含めて総合評価を行う形となっています。本研究はこの評価方法を基本に進めて行く予定です。