東京都環境科学研究所

評価結果 H27-1-3

平成27年度第1回外部研究評価委員会 継続研究の中間評価結果

研究テーマ
微小粒子状物質の濃度低減等に関する研究
研究期間 平成26年度~平成28年度
研究目的
  • (1)PM2.5の環境基準を達成するための、低減対策を示すことを目的とする。
  • (2)ナノ粒子については、都内大気中環境濃度の実態を把握、評価するとともに、高濃度要因を明らかにすることを目的とする。
研究内容
  • (1)PM2.5短期基準超過要因となる成分組成に関する研究
  • ①硝酸塩の生成条件
  • ②有機成分の発生源寄与
  • (2)常時監視測定結果の解析等
  • ①質量濃度、成分組成のデータ解析
  • ②関東SPM合同調査における広域的検討
  • (3)大気中ナノ粒子に関する研究
  • ①欧州の状況との比較
  • ②自動車からの排出、二次生成の影響の把握
中間評価 A5名
評価コメント及び対応
(同様の評価及び対応は、まとめて記載)
  • PM2.5の研究には、PM2.5の計測に加えて、PM10についても同時計測しておくことが、今後の対策を考える上で有用な知見をもたらすものと思われる。ご検討をいただきたい。
  • PM2.5の成分組成の研究で、夏季の高濃度イベントの解析の図など、なかなか野心的な試みを行っており、高く評価したい。
  • 「今後の展開の考え方」季節別の対策は特に重要
  • PM2.5の成分組成の研究で、PM2.5成分分析結果の図の解析、特に硫酸イオンについての発生源の解析を期待している。
  • EU諸国のデータも提示されており,比較があってわかり易い。
  • PM2.5の成分のうち,人の健康に及ぼす影響があるのは炭素に含まれる特定の成分(VOCやベンズピレンなど)なのか,それとも硫酸塩,硝酸塩やアンモニウム塩などの含S,N化合物(塩類)も悪影響があるのか,可能な限りPM2.5の質についても,検討や調査をしていただきたい。そして,より実効性のある指標(PM2.5中の特定成分)を見出していっていただきたい。
  • PM2.5の構成成分ごとの毒性評価が確立していないので、現段階では成分組成による健康影響への評価をするのは困難だと考えています。しかし、今後、毒性情報が蓄積された際にそれらも含めた評価に対応できるよう、成分組成データの収集を続けていきたいと考えています。
  • PM2.5の主要成分である硝酸塩の生成条件を明らかにするために、硝酸ガスを連続測定しPM2.5濃度変動との関連を検討考察したことは評価できる、八丈島(離島)と環研(都内)でPM2.5濃度変動パターンが異なるという結果は、移流という観点からも興味深いので、今後そのメカニズムについても研究を進めてほしい。
  • 越境汚染に関しては、高濃度イベントの解析だけでなく、流跡線解析など広域の大気循環場との関連についても検討すべきではなかろうか。
  • 研究成果を、国内での学会発表や年報論文だけでなく、国内外の査読付き学会誌に積極的に投稿することが望ましい。
  • 研究テーマの最終とりまとめに向けて、気象、大気循環も踏まえた解析に取り組んでいきたいと考えています。
  • 研究計画は着実に推進され、貴重なデータが集積されつつあると思われます。全硝酸の生成量推定や硝酸塩←→硝酸ガスの定量的推定の検証に活用されるような解析が成りたてばと期待されます。有機成分についても同様ですが、こちらはまだ測定結果がどう役立つかの見通しが多少明瞭でないように思われます。
  • 高濃度エピソードは100パーセント気象条件(広域移流、弱風、安定、収束、等々)に支配されていると言っても過言ではないほどですから、気象解析を後回しにして濃度変動の状況だけで移流だろうとか越境だろうとか適当な推測をすべきではありません。なお、近年よく使われる後方流跡線解析では、広域移流(越境を含む)の状況が推定できますが、国内スケールの移流は国内気象データによる解析が不可欠で、全球規模流跡線サービスによる解析は誤解のもとです。
  • 中間報告のため、現状で得られたデータからの想定を行っています。研究テーマの最終とりまとめに向けて、気象、大気循環も踏まえた解析に取り組んでいきたいと考えています。