東京都環境科学研究所

評価結果 H27-2-9

平成27年度第2回外部研究評価委員会 継続研究の事前評価結果

研究テーマ
微小粒子状物質の濃度低減等に関する研究
研究期間 2014(平成26)年度~2016(平成28)年度
研究目的 PM2.5の環境基準を達成するための、低減対策を示すことを目的とする。ナノ粒子については、都内大気中環境濃度の実態を把握、評価するとともに、高濃度要因を明らかにすることを目的とする。
研究内容
  • (1) PM2.5短期基準超過要因となる成分組成に関する研究
  • ①硝酸塩の生成条件
  • ②有機成分の発生源寄与
  • ③広域的な移流の影響
  • (2) 常時監視測定結果の解析等
  • ①質量濃度、成分組成のデータ解析
  • ②関東SPM合同調査における広域的検討
  • (3) 大気中ナノ粒子に関する研究
事前評価 A5名
評価コメント及び対応
(同様の評価及び対応は、まとめて記載)
  • 南方のバックグランド(島しょ部)におけるPM2.5測定を行い、都内濃度と比較することによって広域汚染の影響を検討している。すなわち、八丈島のPMデータと内陸のPMデータを同時計測して、その濃度スゥイングと比較検証することで、広域汚染の機構と、局所汚染の機構を検討している。越境汚染の構造を把握するうえで、キーとなる知見をもたらすことが期待される。
  • これまでも有用なデータが得られており、ぜひ研究を継続していく意味があると思う。
  • ガスから粒子化のメカニズムがわかれば有用な知見となる。
  • PM2.5の組成に関して,季節変動など詳細に検討されており,今後,都の政策を推進する上で有用な結果が得られている。
  • 硫酸塩や硝酸塩が呼吸器系に取り込まれた場合の健康影響については、元素状炭素などと比べてよく解明されていない点もあると思われる。実験研究だけでなく、文献調査などを通じて、健康への悪影響の有無についても今後の研究に反映できるよう、また都民にも説明できるよう努力していっていただきたい。
  • PM2.5構成成分の健康影響については文献等で情報収集していきたいと思います。
  • PM2.5濃度の継続的測定から、夏の硫酸塩と冬の硝酸塩に着目し、その高濃度要因を検討することは、都内の大気環境改善という観点からも重要であり、研究の意義が高く評価できる。今後は、常時監視測定結果も合わせて研究推進すべきであろう。
  • 2014年夏の観測結果をみると、江東区と八丈島で、特に7月24日~28日において、濃度の変動に逆相関が認められるが、この要因の考察を気象データも考慮して十分に検討考察すべきと考える。「域外からの汚染気塊の移流」についても、さらに検討が必要であろう。
  • 八丈島での観測は2015年度、2016年度と継続しており、それらのデータも含めてさらに検討していきたいと思います。
  • PMの成分の多様性に対応して、多面的な調査分析が的確に進められている。国では越境輸送の方に注目が行きがちで、予測モデルもそれが主対象となっているが、関東ではローカルな生成のメカニズム解明なしでは予測も対策も考えられないので、現在の研究の方向でさらに進展されるよう期待している。