東京都環境科学研究所

バイオマスプラスチックの併用や転換による環境負荷低減の検証に関する研究(2021ー2023年度)

令和4年度外部研究評価委員会 継続研究の中間・事前評価

研究テーマ
バイオマスプラスチックの併用や転換による環境負荷低減の検証に関する研究【継続】
研究期間 2021年度~2022年度
研究目的 都が策定したプラスチック削減プログラムにおいて、バイオマスプラスチックは、使い捨て製品の使用が避けられない場合に転換を図ることが考えられる素材の一つとして記載されている。プラスチックは軽量で破損しにくく、保存性に優れており、食品の容器包装に多用されているため、食品廃棄時にも大量に廃棄される。そのため、バイオマスプラスチックへの転換による温室効果ガス削減効果を検証する。
研究内容
  • (1)データ抽出:ごみ組成調査時の野帳から、容器包装を伴う食品廃棄物を抽出。
  • (2)データ集計:東京都における事業系及び家庭系について組成割合、発生原単位、総排出量、焼却処理に伴う温室効果ガス発生量の算出。
  • (3)情報収集:バイオマスプラスチックの開発状況についての情報収集。
中間評価 A 3名、B 2名
評価コメント及び対応
  • 前年度までに実施した都内の家庭、事業所の食品ロスのデータを活用し、食品の直接廃棄に伴うプラごみの廃棄量が上手く推定されており、貴重なデータが得られていると考えられる。外部発表も積極的に行われていて、評価できる。
  • 容器包装プラの特徴が多々調べられていますが、一般的に周知の傾向が述べられているだけで、そうだからどうすべきなのかが述べられておらず、中途半端な調査に終わっている。
  • 食品の直接廃棄に 伴って発生する容器包装プラスチックに関し、区部及び多摩部の清掃工場における焼却処理による温室効果ガス発生量を推計することで、その寄与度を定量化したことは高く評価される。また、東京大学との連携(科研費)も評価できる。
  • 東京大学との連携(科研費)の中で実施するマテリアルフロー分析結果等が都のプラスチック削減プログラムに反映されることをに期待します。
  • 実態を調査し明らかにしたことを評価します。結果として1%以下で非常に少ないことがわかったことは評価できると思います。
  • 食品ロスに伴う容器包装プラスチックの排出特性を明らかにし、その焼却時CO2排出効果を定量的に把握したことは有益な情報であると思われ、研究は着実に実施されていると思われる。
  • 少なくとも、使い捨てのプラスチックをバイオプラスチックに転換することが有効な施策となりうるのかを検討する上で、貴重な知見が得られたものと思われる。
  • 食品ロスに伴う容器包装プラの排出量自体が少なく、CO2削減効果が小さいことが分かったことも重要な成果と言える。
事前評価 A 1名、B 4名
評価コメント及び対応
  • 前年度の知見に基づき、バイオマスプラスチックの利用による環境負荷軽減の可能性を定量的に評価することが予定されており、妥当な計画になっていると考えられます。
  • 手探り感が強く、研究の出口イメージが明瞭でない状態にあることが懸念されます。初年度の分析で総量が限定的であっても、その中でバイオプラスチックをどのように活用するのかをまず明確にすることも、遠回りでないかもしれません。
  • バイオマスチックの併用や転換による温室効果ガス削減効果のデータは、今後の都のプラスチック削減施策の基礎となることが期待される。
  • 【問】樹脂別重量ベースに より集計とあるが、2018年度、2019年度のデータを利用して集計可能なのでしょうか。
  • 【答え】2018,2019年度ごみ組成調査では、食品ロス1点1点(総計261点)について、その容器包装の重量、樹脂種類などのデータを取得していますので、再整理することにより、集計可能です。
  • バイオマスプラスチックの併用や転換についてCO2排出量を推計すると思いますが、非常に小さい値になることは前年度の結果から予想できます。そのうえで温室効果ガス削減では何をするのか不明確だと思います。
    PE、PP、PSそれぞれ食品の種類や利用方法が異なるため、ある程度最適化されていると思いますので、バイオマスプラについてもそれぞれの用途に合っているのかを検討しないと、転換できないように思います。
  • 前年度の結果を踏まえて、食品ロス以外にも調査対象を広げる研究計画は妥当であり、LCA解析等への進展に期待する。
  • プラスチックのリサイクルに関する総合的な研究という観点では、研究2-1との連携を視野に入れてはいかがかと思われる。
  • これまでの成果を活かした新たな視点での取組みになっている。
来年度へのアドバイス
  • 初年度に実施した容器包装プラの特徴把握の結果をバイオプラスチックの併用に上手く活用する方向で検討いただければ幸いだと考えます。