東京都環境科学研究所

保護上重要な野生生物種の保護策強化に向けた調査研究(2024-2026年度)

令和6年度外部研究評価委員会 新規研究の事前評価

研究テーマ
保護上重要な野生生物種の保護策強化に向けた調査研究【新規】
研究期間 令和6~8年度
研究目的 都内における魚類や水生生物等の保護上重要な野生動植物種の生息状況を把握すると共に、外来種の生息や遺伝的交雑、生育環境の変化等の実態を明らかにし、野生動植物種の保護に資する科学的知見の集積を目的とする。
研究内容
  • (1)都内水域における生物相の把握
  • (2)外来種による置き換わりや遺伝的交雑等の実態把握
  • (3)生物種の減少要因等の解明に向けた科学的知見の集積
事前評価 A:優れている      2
B:普通         3
C:やや劣っている
D:劣っている
評価コメント及び対応
  • 生物多様性の重要さは年々高くなってきていますので、ぜひ網羅的な調査をして生物多様性保全に貢献してください
  • 【問】主にどのような地域を対象とするのでしょうか?
  • 【答え】基本的に保護すべき動植物種の存在が確認されている地域、もしくは存在の可能性の高い地域が調査対象となります。
  • 研究背景、課題に対して適切な研究項目が設定されており、適切な研究課題が設定されていると思われます。
  • 【問】種々の調査や実態把握はフレキシブルに実施されるようなので、事前に具体的な研究計画を記載するのは難しいことは理解できますが、3年間の年次計画が全く同じ項目で記載されていることは、研究者の立場から見ると適切でないように思われます。また、評価委員の立場からは、ある程度大きな金額の予算が計上されているので、その内訳も大まかに示されることが良いかと思われます。予算計画についてのコメントは他の研究課題にも当てはまるかもしれません。
  • 【答え】研究計画についてはご指摘のとおりです。今後担当研究員が着任後に検討してまいります。予算については、特別研究のため、他の研究と異なり人件費が含まれているために大きな金額に見えています。
  • 生態系保全に向けて重要な研究であり、保護の方策についても検討される全体の枠組みの提案は優れていると評価しています。
  • 【問】生息環境の実態把握については、観察会やボランティアでの調査補助など地域住民も巻き込んで行うことで、住民の関心や保全等に向けた機運も高まると思いますので、ある段階で検討して下さい。調査対象の生物種の活動や生息についての記録や情報はどの程度遡って行われてきたのでしょうか?そうした過去の蓄積のもとで新たな視点がどこにあるのか明確になれば、更にいいと思います。
  • 【答え】・ご指摘のとおりですので地域活動団体等の協働も視野に入れて研究を進めてまいります。
    ・調査対象の生物種の情報収集は、環境局で実施した過去3年間のDNA調査や、レッドデータブック作成のため必要に応じ過去にさかのぼった文献調査により行われてきました。過去の蓄積に今後の調査で得られる情報を加えて新たな視点を明確にできればと思います。
  • レッドデータブックへの貢献などより大きな枠組みのもとでの研究と思いますが、そうした関係は常に意識できるようにしておく工夫が必要と思います。保護方策については、既に取り組まれている同じ種類の生物の方策を参照できると思いますので、そうした情報収集も行ってもいいのではないかと思います(この地域の固有種であれば困難かもしれませんが)。
  • 新たな研究分野となりますので、期待しています。
  • 【問】3年後に保護方策を検討する、というスケジュールは大丈夫でしょうか?
  • 【答え】スナゴカマツカについては、域外保全(施設での人工増殖)の可能性を検討中です。
  • 地道な研究・調査の積み重ねが必要な分野ですので、長期的なスケジュールも立てておくとよいと思います。
  • 2023年4月に改正された東京都生物多様性地域戦略の基本戦略Ⅰに対応する研究として評価できる。
  • 【問】都には野生生物目録がない状況の中、魚類、水生植物の環境DNA調査を基本に実態把握、3年後には保護方策の検討に入ることは難しいように感じられます。専門知識を保有する大学などのほか、データを保有する自然保護団体などとの連携も視野に入れてはいかがでしょうか。
  • 【答え】保護方策については特定の種(スナゴカマツカ)について検討中です。他機関との連携については積極的に実施していきたいと考えております。