「使えるモノは捨てる前に持ち込んで!」――。地域で不要になった大型家電や家具などを地域内で売買、譲渡できる地域情報サイト『ジモティー』を運営する株式会社ジモティーは、東京都世田谷区と共同で全国初となる不要品持ち込みスポットを設置、運営しています。スポットを設置したことで、地域のごみ事情にどのような変化が生まれたのか、同社のジモスポ開発部 鑛 太一さんに伺いました。

―「世田谷区不要品持ち込みスポット」は、どのような経緯で始まったのですか。

世田谷区の粗大ごみ中継所を見学させていただいた際、壊れた物の廃棄もありましたが、使える物の廃棄が思った以上に多いことが分かりました。粗大ごみの量を削減したい世田谷区で不要品を持ち込めるスポットを立ち上げて区民から品物を受け入れ、ジモティーのプラットフォームを通じて欲しい方々に譲るという流れが成立するのではないかと考えました。この段階では想定でしたので、まずは実証実験として進めることになりました。

区民から持ち込まれた商品が並ぶ、不要品持ち込みスポットの内部

―スポット開設後、住民の皆さんの反応はいかがでしたか。

世田谷区の粗大ごみページにスポットのことを掲載いただき、それを見た住民の方々から私たちが想定した以上に多くの品物の持ち込みをいただきました。

ホームページ(https://jmty.jp/about/setagayaku_spot)に記載がありますが、持ち込めるのは家具、家電、レジャー・スポーツ用品、子ども用品です。




―ニーズがあったんですね。スポットを設置した成果として、具体的にどのくらい粗大ごみの減量につながりましたか。

2022年3月末までの半年間の実証期間で、持ち込まれてきた商品の95%に当たる1万2,200品がリユースされました。これを重量で試算すると、約68トン分の減量効果があったことになり、年間でおよそ1,700万円の財政効果があったと見込むことができました。

まだまだ使えそうな状態の良い商品が並んでいます

―ここまでの反響や成果を得られた背景には、どのような要因があると思いますか。

私たちの強みは、地域の方々に利用してもらえるプラットフォームを持っていることです。フリマアプリやオークションサイト経由ですと、大型の製品は配送コストが高くてやり取りしにくいですが、ジモティーなら粗大ごみの費用をかけずに処分できて、なおかつ地域内ですので配送コストも抑えられます。これまで価値が低くて流通しにくかったものをやり取りでき、顕在化しなかった情報を見える化することで、地域の人同士で支え合えるような循環をつくれているからだと思います。自治体が管理している粗大ごみにはまだまだ使えるものがたくさんありますが、欲しい人を自治体の側で見つけるのは大変です。地域の人たちが見ているジモティーを利用していただくことで、価値が低いものでも引き取られやすいということではないでしょうか。

ウェブサイトから持ち込み日程を事前に予約した上で、スポットに不要品を持ち込めます

―世田谷区に限らず、全国の自治体と協定を結んで連携していますね。

はい、これまでに全国74の自治体と協定を結んでおり(2023年1月31日現在)、官民一体となって地域のごみ減量に貢献しております。(自治体として最も始めやすい取り組みとしては、粗大ごみ回収予約サイトなどで「ジモティーを使ってみませんか?」という啓発メッセージを出すことで、住民の方々がごみを出す前にジモティーを活用するのでごみの減量を図れます。あるいは、自治体が自らアカウントを設けて、保管している粗大ごみをジモティーに出品することもできます。)

不要品持ち込みスポットは、現在東京都内のほか川崎市などでも進めています。粗大ごみの減量などに寄与できることがある程度見えてきましたので、これを全国に広げていきたいです。日本では、まだまだ使えるけれども捨てられて焼却処分されてしまっていることが多いので、これらを循環させることにジモティーとして貢献していきたいです。

◆世田谷区不要品持ち込みスポットの概要、および持ち込み予約はこちら
https://jmty.jp/about/setagayaku_spot

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