私たちが生きている地球の表面積の約7割を占める海。その広大な海は、生命の源。生物多様性の宝庫であり、魚や貝、海草などさまざまな生き物が暮らしています。普段口にする食べものはもちろん、医療品やバイオ燃料など私たちの生活に関わる多くの恵みをもたらしてくれています。
また、海には、汚染物質や生活排水を浄化する作用があります。さらには、熱エネルギーや二酸化炭素を吸収することにより温暖化の進行をやわらげたり、沿岸生態系は、暴風雨による被害を軽減したりする大事な役割も果たしてくれています。海の豊かさを守ることは、気候変動の緩和と適応の取組にもつながるのです。
それだけでなく、美しい景観や海水浴やマリンスポーツなどの娯楽を通じて、私たちの心と体に安らぎを与えてくれる存在でもあります。
2016年1月の世界経済フォーラム(ダボス会議)で「毎年世界で800万トン以上のプラスチックごみが流出しており、このままなら、2025年には海の魚3トンに対しプラスチックごみが1トンに、2050年にはプラスチックごみが上回る。」というレポートが発表されました。
なぜこんなにも「海ごみ」は増えてしまうのでしょうか。
日本の海岸に漂着しているごみは、「レジ袋等のポリ袋」や「ペットボトル」など、私たちの生活の中から発生している「生活系のごみ」が約半分を占めています。街なかでポイ捨てされたごみや屋外で放置されたごみは、雨や風によって流されて河川や水路に入り、やがて海まで流れ出て、海ごみとなってしまうのです。
この海ごみの大半はプラスチックです。プラスチックは自然にはほとんど分解されず、環境中に長い時間残留します。また、特に心配されているのが、プラスチックが紫外線や波の力により細かく砕けたかけら「マイクロプラスチック」です。5㎜以下になった小さいかけらが、食物連鎖に入り込み、海の生態系全体に大きな悪影響を与えることが懸念されています。
問題となっている海ごみは、
身近な取組の積み重ねで
減らしていくことができます。
海ごみについて学び、街なかや河川敷・海岸などでの清掃活動に参加してみましょう。
海に流れ出す前に川ごみを拾うことは大切です。拾ったごみは、分別して、適切に処理します。
マイクロプラスチックになる前に、海岸のプラスチックごみを拾うことも、海ごみを減らす効果があります。
SDGs(持続可能な開発目標)とは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標で、17のゴールと169のターゲットから構成されています。その14番目のゴールに「海の豊かさを守ろう」があります。
2030年に「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し持続可能な形で利用する」というビジョンのもと、海の豊かさを守ることは、世界全体で取り組むべき共通の目標になっています。