活動団体情報・活動紹介

小笠原ビジターセンター・大神山公園サービスセンター(公益財団法人東京都公園協会)

観光前に訪れると小笠原旅行が2倍楽しめる

都立大神山公園内にある小笠原の歴史・自然・文化を伝える施設です。外来種による生態系への影響と対策を常設で展示しています。常設展以外には、合計4つ毎年新しい展示が行われています。通年で行われている特別展と、年に3回季節ごとに入れ替わる展示があります。また夜間開館や講演会、体験教室などのイベント等も行っています。

住所
〒100-2101 東京都小笠原村父島西町
電話番号
04998-2-3001
活動ジャンル
HP
https://www.tokyo-park.or.jp/park/ogasawara/index.html
SNS
海の環境を守る団体からのメッセージ

公益財団法人東京都公園協会
小笠原ビジターセンター・大神山公園サービスセンター
センター長 玉置 剛 氏

小笠原の豊かな自然や歴史について学ぶことのできる小笠原ビジターセンターでは、観光客の皆さんと一緒に、海岸での清掃イベントを実施しています。今回はセンター長の玉置さんに、清掃イベント等の海ごみ削減に向けた取組を始めた経緯、小笠原のきれいな海を守るために私たちができることについて伺いました。

海岸清掃イベントを始めた経緯や皆さんの反応について、教えてください。

小笠原ビジターセンター・大神山公園サービスセンターでは職員が大村海岸を毎日巡回し、清掃していましたが、職員だけでは限界がありました。2020年に島民や観光客の皆さまと一緒にビーチクリーンをやることにしました。大村海岸は一見きれいなので、最初は活動していてもごみ拾いをしていることが分からず、目立ちませんでした。そこで、「マイクロプラスチック回収中」というのぼりや普及啓発ポスターで活動をPRしました。マイクロプラスチックという言葉を聞いたことがなくても、のぼりを見て何かを回収しているのだなと分かります。それからだんだんと島民にもマイクロプラスチックがどういうもので、海岸を清掃していると知られるようになりました。ビーチクリーンをやるときは海を眺めてくつろいでいる方にもお声がけして、参加者を増やしています。今では大きなイベントとしてやることもあります。小笠原にお越しの際は、是非活動に参加してもらえるとうれしいです。

参加者の皆さんにはどのような事をお伝えしていますか。

参加される皆さんには、ただごみを集めるだけではなく出さないことが必要だということを清掃の前に伝えるようにしております。漂着ごみの段階で回収、もしくはごみを出さないことが最善であるとお伝えしています。漂着ごみは紫外線で劣化し、波の衝撃で破壊され、微小なごみになります。このようにマイクロプラスチックになると、ほとんど回収ができなくなってしまいます。出てしまったものはできる限り回収するしかないですが限界があるので、出さないことの方が大事だとお伝えしています。目の前に落ちているごみだけでなく、自身の生活の中でできることを考えてもらうようにしています。

海岸清掃に参加される皆さんからはどのような声がありますか。

実際に参加された皆さんからは「社会貢献できてよかった」「たくさん拾うのが楽しかった」といった声があり、楽しんで拾ってくれている印象があります。清掃というと、やりたくないという人も多そうですので、このような声は開催者として意外でしたし、とてもうれしく思います。また参加者には、社会貢献の証として「マイクロプラスチック回収活動認定証」をお渡ししています。これも「貰えてうれしい」と言ってもらっています。

釣りがご趣味の玉置さんが感じる、小笠原の海の特徴を教えてください。

釣り場がきれいですね。釣り人の意識も高く、汚してはいけないと思っている人が多いです。また小笠原の住民ひとりひとりが澄んだきれいなボニンブルーの海を守っているため、他の地域では食べられない魚でも、小笠原では食べることができる魚が数種類います。美味しい魚が安心して食べられるので、海がすごくきれいだというのを実感しています。

海ごみを減らすために、一人ひとりが大切にするべきことはなんだと思いますか。

微小なごみになる前に、自身の活動で発生したごみは必ず最後まで責任を持って処分することが大事だと思います。ごみは一度人の手を離れて海に流れてしまうと、どこに漂着するか分からず回収がとても大変です。自分が出したごみに全員が責任を持てば、ごみは流出しなくなりますね。海ごみ問題を知らなかった人達にはこれから意識していただきたいです。そのうえで、他人が出したごみが目に付いた場合には、それも拾って欲しいです。「自分+1(プラスワン)」で、拾えばごみはどんどんなくなるのかなと思います。

小笠原を訪れる観光客の皆さんに伝えたいことはありますか。

小笠原では豊かな生態系を守る活動をしている人達がたくさんいます。国や都等の自治体の職員をはじめ、BOISSさんのようなNPO団体もいます。また島民の方も散歩がてら、毎日の生活の中に溶け込むような形でごみを回収してくださる方が多いです。皆さんの協力のお陰できれいな海が維持できているということを知っていただきたいです。

世界自然遺産地域である小笠原では、小笠原村が作成した小笠原ルールブックがあります。小笠原ビジターセンターでも掲示していますし、村役場(小笠原村)のホームページからもダウンロードできます。それを一読してもらえれば、旅行で楽しむだけでなく、自然を守る一員として、小笠原のことを理解するのに役立つと思います。

また是非一度自分の目的外のことも体験して欲しいです。小笠原はリピーターの方が多いので、「ダイビングがしたいから来ました」、「釣りがしたいから来ました」というように、目的が決まっている方も多いと思います。例えば海のダイビング目的で来た方も、山に登ってみてほしいです。中央山のように、20分くらいで登れる見晴らしの良い山があります。自分の得意なジャンル以外を体験してもらえると、小笠原で新たな発見があるのではと思います。